2016年9月25日 ナメ沢右岸尾根から皇海山へ

 前記事にも書いた通り、この日は湯ノ沢支流の広沢を詰めて皇海山に登り、根利山古道で下山する予定であった。ただ、安定しない天気と前日のふみふみぃさんの記事からも沢の増水に不安があったため、いくつかの腹案を用意して臨むことにした。
 今回は時間との勝負になることが予想されるため、久しぶりに早起きして3時過ぎに自宅を出発。奈良の駐車地には5時前に到着した。足回りは最近定番となっている水陸両用のハイカット型ハイパーV。増水して迫力ある滝を撮影したいが、そんな時間的な余裕はないし、荷物が重くなるので今回はコンデジのみ。それでも3リットルの水と30mロープを積むと結構な重さとなった。5時20分に電動自転車で出発。既にヘッドライトは必要ない明るさになっていたが、まだ薄暗いので一応ライトを点けていく。と、左手の林の中からバキバキッと物音が。まさかね~と思ってみると目が2つライトに反射して光っている。黒くて丸いイキモノが慌てて逃げていった。冷静を装うも、のっけから全速力でペダルを漕いでいたw
 林道ゲート手前に車が3台ほどとまっていたが、既に禁漁になっているはずだから山歩きだろうか。ゲートを過ぎると、前回よりも少し工事が進んだようで、砂利が平らに均されて走行しやすくなっていた。一つ目のトンネルを潜ると路面状況は前回と同様だが、至る所で水が出ていて場所によっては沢のようになっていた。泙川本流の水量が気になるも、林道の遥か下を流れるためその様子を窺い知ることができない。途中、単独の男性を追い越す。装備からして、登山かハイキングだろう。前回自転車をとめた場所(さぶゆ橋手前)を過ぎ、落石が堆積したところは自転車を押して通過。三重泉沢の右岸で再び落石個所があり、ここも押して通過。それ以外は問題なく通行できた。



三重泉沢の水量は前回より明らかに多いのがわかる。




三重泉沢を渡ると、水を吸った落ち葉が堆積しており、登りなので電動自転車でもなかなか前に進まない。それでも予定した平滝まで電動自転車で行くことができた。所要時間は35分。ゲートの近くに駐車していれば、30分をきっていただろう。おかげでかなりの時間と体力の節約ができた。




平滝に来てようやく泙川本流の様子を近くに見ることができたが、予想以上の水量と轟音で圧倒されてしまった。この対岸から下山予定だが、無事に渡渉できるのだろうか。




平滝小屋





このガードレールが切れたところから右へ入り、ニグラ沢を渡る。





前回と同じ踏み跡を辿って泙川本流へ下降していく。





6:27 泙川本流に降りたった。前回と違い、白波が立っている。






普段はみられないであろう滝がいくつもあった。




流れが速いのでできるだけ岸を歩く。通常より川幅が広くなっているため、必然的に渡渉回数が増え時間もかかる。前回の経験がなければ、この辺で怖気づいて引き返していたかもしれないが、この先、途中までの様子はわかっているので行けるところまでは行くつもりだ。そう考えれば前回の迷走も無駄ではなかったのかもしれない。




湯ノ沢出合手前のナメ滝。前回は水流中央を突破できたが、今日はとても無理だろう。試しに左の壁をへつって途中から足を流れに入れようとしたら、簡単にはじき返された。おとなしく少し戻って左岸から巻いた。




6:43 湯ノ沢出合。ここを右へ。



湯ノ沢に入れば少しは流れが弱くなることを期待したが甘かった。画像だとわかりづらいが、迂闊に水の中に入ると水流に足をとられそうになるため、岸に追いやられながら歩くことになる。この分だと第一案の広沢を遡行していたら時間切れ必至だ。早々に第二案への切り替えを決断した。





倒木が残念な二条滝は左から巻いた。




6:57 龍ノ沢大滝。さすがに今回は迫力がある。しかし今回はデジ一を持参していない。コンデジを岩に押さえつけながらスローで撮影したらそれなりに写っていた。




湯ノ沢本流の遡行を続ける。前回引き返した滝も迫力満点。前回は上段の中央を直登できると思ったが、今回はとても無理。





右岸に付けられた細引きを利用して高巻く。この先は未訪エリア。




滝を巻いてから先は綺麗なナメ床が続き、すぐにナメ沢出合に到着。第二案はこのナメ沢の右岸尾根を標高点1640mまで登り、標高点1640m先の鞍部から標高を保ちつつ南東へトラバースし、広沢へ下降するというものである。ちょうど標高1550mから1650の間は等高線が緩やかになっているため、ヤブさえなければかなりの時間短縮になることを期待している。





ナメ沢出合にあった目印。




ナメ沢右岸尾根の末端と湯ノ沢本流側は切れ落ちているため、ナメ沢を少し入ったところから尾根にとりつくことにした。出合の滝を右壁から越えると、右岸側にロープが垂れ下がっていて、尾根に向かって明瞭な踏み跡も続いていた。ナメ沢出合から先の湯ノ沢本流(コの字型に屈曲している部分)は、通過困難なゴルジュになっているらしいので、この踏み跡は尾根越えをして湯ノ沢上流へ続いているものと思われる。

ナメ沢出合の滝




7:25 踏み跡を辿って尾根に乗ると、シャクナゲさんの間に踏み跡が続く。



標高にして40mくらい登ると踏み跡が消えてシャクナゲートに突き当たる。ナゲさんは前日の雨に濡れしっとりとした佇まいだ。しかし今日はじっくりと対話をしている時間がないのであいさつだけ済ませ、左側のヤブがない広地に退避する。




ヤブを抜けて歩きやすくなるが、シャクナゲートの再登場に警戒しながら進む。









時々シャクナゲがフェイントをかけてくるものの、容易にかわしながら進んでいく。




予想以上にいい尾根だ。









今回驚いたのがこの標石。まさかこんな奥地に人の手が入っているとは思わなかったので面食らってしまった。標石や朽ちた木の杭は1928Pまで断続的に続くことになる。標石をよく見なかったのだが、もしかすると古河のマークが入っていたのかもしれない。




よく見ると植林までされていた。




順調すぎるペースで歩いてると思ったら、尾根取りつきから1時間、標高1500mを超えた辺りで両太腿の前側に違和感を感じ始める。よく考えるとここ数ヶ月まともに歩いていなかったことに気付く。一旦休んでストレッチし、その後もペースを落とすも時すでに遅し。まずは右太腿が攣り、右をかばうとすぐに左も攣ってしまった。ペースオーバーの時に太腿が攣ることはよくあるし、大概歩き続けているうちに治まるので特段慌てることはなく、以後、極力ゆっくり歩くようにした。平らなところは問題ない。





三俣山方面。そういえば、ここまで景色を見ることもなくただ黙々と歩いていた。




標高点1640mが近づくと明るい雰囲気になり、突然踝丈の笹原とダケカンバ林が出現した。大部分が薄暗い針葉樹林の尾根において、まさに別天地のような処だった。
樹間からは皇海山やカマ五峰、オロ山など、いつもとは違う角度から見れて新鮮だ。

8:46 標高点1640m





皇海山





既に黄葉がはじまっている。





奥のピークはオロ山




期せずして見つけた楽園に気をよくしたが、足の調子はなかなか回復せず、10m歩いては1分休むを繰り返す始末になっている。この分だとこの先の鞍部から広沢へトラバースする第二案はリスクが大きいと判断。このまま尾根を登りつめて皇海山に登頂する第三案を選択することにした。広沢を遡行できないのは残念だが、今日のコンディションでは妥当な選択だろう。そもそもこれから皇海山まで行けるかどうかもわからない。帰りの時間を考慮すると皇海山頂へのリミットは11時半としよう。時間切れになったら、皇海山はあきらめて1928Pから予定ルートで下山するのもやむを得まい。

9:12 1640P南の鞍部から登り返しになるところで笹原は終了




その先は地形図通りの急登。今の足には拷問のような角度だ。無事に帰還するためにも、ここから1928Pまで標高差300mだけはがんばろう。と自分に言い聞かせるも、足はいうことを聞いてくれない。遅々として進まず、これまでの半分以下のペースに落ちて焦りがでてくる。





一旦中だるみになると、少し足を休ませられる。やはりきついのは登りだけのよう。




尾根の後半は、標石に代わって木の杭が続いていた。




10:02 根性で1928Pに着いた。この一帯は倒木がやたらと多い。倒木をまたぐ動作はそれほど負担を感じないのが救いだ。さて、ここでエスケープするか、山頂を目指すか。




あと1回、標高差200mほどの急登を我慢すれば山頂も近い。時間もまだ余裕はあるが。。。よし、筋肉に聞いてみよう。おい、俺の大腿四頭筋、行けるのか、行けないのか、どっちなんだい!?・・・「行ける!」  よしわかった、最後のひと踏ん張りがんばろう。(←アドレナリンが過剰分泌しておかしなテンションになっている)





コメツガの林の中を、薄い踏み跡を拾いながら




一歩一歩ゆっくりと登る。ヤブは避けられるが、とにかく角度がきつい。




10:44 東西に長い尾根の2090m級ピークに着いた。ここまで来たらもう行くしかないでしょ。なんとなく、幅広の道型があるようなないような。




袈裟丸連峰




時々、コメツガが覆いかぶさってくるも、左右どちらかにかわせるとこも多く、漕ぐというほどではない。




奥に燧ヶ岳と、右は笠ヶ岳から錫ヶ岳




日光連山




やっぱり、道型だよな。古い作業道跡かなんかかな。これをうまく利用すると、楽に歩けた。




山頂手前、最後の登り。薄い踏み跡あり。




11:14 やれやれ、着いた~ 



(続く)


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コメント

ふみふみぃ

No title
のっけから熊に出会うとは・・。暗いでしょうしこれは怖いですね。やっぱり水量は多いんですね。一度歩いているきりんこさんだからいいですが初めて行ったら特に何もできず撤退しそうです。
シャクナゲさんはやはり細尾根が好きなんですね。その先の広そうなところではあまりいないようで。
そうなると一本東の広沢右岸尾根の先端もシャクナゲさんが暮らしていそうで秘密の花園に期待できそうです。
きりんこさんもブランク空くと足に来ましたか。3週間ぶりの歩きで新潟に行った時の私と同じです(笑)。休んでも歩いてても回復速度はあまり変わらなかったので水飲んで殴りながら下りてました。登りだと泣きたくなりますね。

きりんこ

No title
ふみふみぃさん、こんばんは。
奥地ではなく、まさかのっけからの遭遇には意表を突かれました。暗闇に浮かぶあのシルエット、丸い頭部に三角耳二つは間違いなく熊さんでした。
水量は予想通り多かったですね。この先も雨が多い予報ですし、今年の沢はこれでおしまいかなとも思っていますよ。
シャクナゲさん、尾根の下のほうだけに暮らしていましたから、付近の尾根も同じようでしょうね。ただ、下りルートではほとんど見ませんでしたね。
脚の痙攣は時々あって、たいていストレッチをしたり水を飲むと治まるのですが、今回はあまりにも急登が続くので、休ませる暇がありませんでした。さらに下山時は太腿の裏側が攣るし、やはりブランク後はなめちゃいけないですね。

サクラマス

No title
相変わらずハードな行動ですね。今一番私が気になってるお山笠ヶ岳いつか行ってみたいなぁ。

きりんこ

No title
サクラマスさん、こんばんは。
長時間歩くにはいい気候になりましたが、いきなりハードすぎたみたいです(笑)
笠ヶ岳が気になっているのですか。それこそ無雪期はかなりハードじゃないですか?私も日光側から沢を越えて周回しようと思っておりますけど、来年以降でしょうね。

みー猫

No title
こんばんわ。
毎回、感心やまないのですが、今回はテンションも高かったんですね。途中のシャク文は、ふみふみぃさんの記事かなと思うほどです(笑)熊さんも最近会ってないので、どうしたものかと思ってましたが、お二人のほうにお近づきなんですね。暗闇の光る眼は怖いですねぇ。
みー猫

きりんこ

No title
みー猫さん、こんばんは。
久しぶりのロング計画でしたので、意識せずともどこか高揚していたみたいです。ふみふみぃさんのように文才はないのですが、シャク文はちょっとふみふみぃさんを意識しました(笑)
熊さん、今年はエサが不作らしいですから、里に下りてくるのが心配ですね。山奥ならまだ警戒しているのですが、里で出会うと一瞬目を疑いますね。
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きりんこR

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