2018年6月3日 雲竜渓谷~黒岩

今回の記録、誰の役に立つものでもないし、しかもこの山行の2日後に高熱を出して寝込んだりしていたので、このまま藪の中に葬ってしまおうかとも思ったのであるが、ようやく体調も戻り、自身の備忘録としてやっぱり記事に残すことにした。
とりあえずの目的は、5月20日に赤薙山から下る途中に見えたシロヤシオの群生地に雲竜渓谷から行くことと、そこから黒岩までつなげることである。雲竜渓谷から黒岩へのルートはどこも絶壁に阻まれ、昔の登山道(過去に2度歩いている)以外に行く方法はないと思っていたのだが、先日、件のシロヤシオ群生地を見ていて、あと1か所行けそうに見えたところがあった。さすがにシロヤシオはもう終わっているであろうが、もし途中で行き詰った場合は、七滝沢の上流を探索し、帰りに崖沿いで例の花でも鑑賞して帰ればいいかなというアバウトな計画。ちなみに、翌日も休みで長距離を歩くつもりでおり、なるべく疲れは残したくないので、女峰山や前女峰まで行くつもりは最初からない。


稲荷川林道のゲート周囲には、工事関係者以外通行止めとの注意書きがいくつもあり、ハイキングコースは直進するよう促される。前からこんなに厳重だったっけなぁ。
特筆すべきこともなく林道終点に到着。雲竜瀑方面への道を右に分け、直進してすぐにメシ沢を横断。上流側に堰堤とその奥には絶壁が見えている。この時点では、この沢のことは何とも思っていなかったのだが、結果的に今回のコースのポイントになる。(画像は以前撮影したもの)




廃れた林道を進み、2つ目のカーブから藪入りする。右奥に見える高さ100mはあろう断崖の上に1574m地点がある。今回の狙いは、あの断崖の一つ西隣の尾根である。





出だしからそこそこ急で、踏み跡もない。しかしまだ普通に歩けるレベル。





左下を見るとちょうどメシ沢の堰堤横を歩いていた。





その上には垂直の壁。30mくらいはありそう。




沢から離れ予定通り尾根を登っていくと、徐々に傾斜が増してくる。両腕も使いながら体を持ち上げるが、掴まるところは豊富だし、足場は安定しているので不安はない。





しかしクマとの遭遇にだけは警戒し、時々鈴を振り回す。





木の幹や根っこに掴まりながらよじ登る。





一旦傾斜が緩み一息つく。振り返ればヤマツツジ。





安心していたら、とうとう崖で行き詰った。まぁ、想定していたので慌てないけど。




じゃ、七滝沢に行先変更しようかと思ったが、左側を見ると、谷を隔てた一本西隣の尾根から行けるかも。行くだけ行ってみよう。




谷に降りると暗い岩窟があり、遠くから熊鈴を鳴らして中に何もいないことを確認してから通過。




隣の尾根に乗るとすぐに岩めいていて、つかまるところが乏しく、岩も滑りやすい。無理して行けなくもないが、途中で行き詰って戻ろうにも、今日は10mロープしか持参しておらず、ここを下る自信もない。ついに万事休すか。でも慌てない。なぜならルート開拓に強いこだわりがないから。たぶん、ここを超えれば核心部は終了だし、いつもならガツガツ行くところだが、落ち着いて考える。いや、天の聲に耳を傾ける。するとすぐに「左に行ってごらん」との聲が降りてきた。




聲に従って数十メートル西へトラバースすると、ガレガレのメシ沢に導かれた。一旦沢に降りて、巻けるかどうか探ってみることにする。まさかこの沢を歩くとは当初思っていなかったのだが。





浮石に注意しながら少し登ると標高1520mの二俣。ここは右へ。




岩裾を回り込むと、あらまあっさりと尾根に登れるルートがあった。しっかりとした鹿道もある。やはり聲に従って正解だった。





難所を超え、風にそよぐユキワリソウに心癒される。




振り返るとメシ沢の左俣が稜線(天狗沢左岸尾根)に突き上げる。最後は崖なので横に逃げる必要があるだろう。そもそも、こんなガレ沢誰も歩かないだろうが。





一方、右俣はいくらでも逃げ道がありそう。




ほとんど散ってしまったシロヤシオのトンネルを進む。この辺りが先日見えていた場所のはず。




中央が1574m地点で、右奥が赤薙山奥社跡。手前のシロヤシオがある尾根が、当初歩く予定だった尾根。途中絶壁を回避したためこちら側を歩いているというわけだ。





谷を一本越えれば行けるが、まぁ行かなくてもいいかな。





こちらにもそれなりに咲いているし。




やがて尾根型が不明瞭になり、斜面に吸収される。標高1700mあたりからはどこを歩いても同じような感じ。足元にはコバイケイソウやフキの群生地があり。





ミツバツツジはひかえめに。





シロヤシオは稜線直下まで断続的に咲いていた。標高1750m付近で旧登山道と合流し、薄い踏み跡を頼りに黒岩尾根へとトラバースしていく。




黒岩直下の稜線に合流。さっそく下の方から人の話し声が聞こえてきた。林道終点からここまで、ゆっくり歩いて1時間50分だから、旧登山道よりも30分は早いかな。まぁ、危険個所はないにしても、ただ「行けました」というだけであって、人様に進められるようなコースではないし、誰もまねしないでしょう。シロヤシオのピークに来たとしても、あまり写真にならなそうだし。ということもあって、記事を公開することにしたのであるが。





最近体が鈍っていることもあり、意外と疲れたなぁ。今日はこれ以上進むつもりはないので、のんびり景色を楽しもう。












足下の花々を愛でたり、なんだかんだで1時間近く黒岩に滞在してしまった。帰るのも面倒だが、重い腰を上げて下山する。ルートは、旧登山道を下って、例の花でも見ていくことにしよう。





途中、ユキワリソウが至る所に咲いていた。





レッドバンドを無理やり背景に





この一角だけ、木々が立ち枯れしてしまっている。





七滝沢上流を見る。F2の滝つぼにはまだ残雪があるようだ。まだ時間も早いし、そのF2の高巻きルートだけでも確認していくか。





今回もちょっと迷ったりしたが、わりとすんなりと七滝沢に着地。




F2まで30分近く要してしまった。10分程度だと勘違いしていたので、少々ウンザリ。滝壺には、上から見た通り残雪あり。スノーブリッジになっているので、無理してこれ以上近付くのはやめておいた。




ここから見えている部分だけだと水流を直登できそうだけど、確か下半分が難しいんだよね。ということで安全に巻けそうなルートを探るも、付近には見当たらず。唯一、100mほど下った右岸に大高巻きできそうなところがあったので、次回は試してみよう。




なんだか疲れてしまって、帰りはいい加減な歩き方をしていたら2度も水中にドボンしてしまい、両足ともグッチョリに。さらに濡れた靴で赤土のザレを歩いたら両足とも真っ赤っかになってしまった。





あとは目的の花を1時間かけてのんびり撮影。









翌日も長距離を歩く予定なのだが、予想以上に疲労感があり、果たして大丈夫かなぁと思いながら下山したのであった。
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コメント

瀑泉

No title
雲竜というから,何処をお歩きになったのかと思ったら,結果的にメシ沢というワケですか。水が無いから真似しようとは思いませんが,それにしても,困った時に「天の聲」が聞こえるとは羨ましい。
七滝沢に,まだ雪渓が残っていることにも驚きましたが,右岸側に大高巻きできそうなルートが有りましたか。上がれば,バンドを伝ってF3に行けそうダシ,是非,先鞭をお願いたしますヨ。
それにしても,体調が悪いといいつつ,やはり足が速いですネ。ちなみに,昨日(9日)は,一応,目的地の一つに到達したケド,時間切れだったので,お蔵入りにしようかと思っています(汗)。

Космическая пыль

No title
お疲れ様です

雪がまだかなりあったのですね。私が去年遡行して、霧に包まれ紅横紋真下に肉薄するも観えないので断念したのが6月9日で、今月行きたかったのが8日でした

乗り越えるの大変滝ですが、見た目の残雪の高さから、濡れる覚悟あればきりんこさんでしたら登れた様な(笑)

滝上左岸すぐの長い滝がまだなので紅横紋ではなくこちらを先に行こうかしら?何故か紅横紋真下に行こうとすると悪天候や仕事、不調で阻まれ、皆に「行くなという事」と言われるんです。実際、落石・岩がカラゴロ来てマリオBrosやる事になりそうです

因みに“俺のきん隠し”と名付けていた、何故か見るとお小水したくなる奥に滝がある堤郡は、メシ沢と言うのですね。覚えました。小水は、きちんと迷惑にならない所でしてます。ここで手と顔洗うので

個人的に、枯れ木地帯呼ばれました

また、きりんこさん、以前お会いした時に勘の強さ覚えましたが、ウォーロックだったのですね。カラーは蒼灰色!電波話でした

きりんこ

No title
瀑泉さん、こんにちは。
たぶん、地形図に表れない岩場や崖があると思ったので、最初から成り行きな感じでした。メシ沢を歩いたのはほんの少しの区間でしたが、この沢から巻くことで、その後は平穏な尾根歩きができましたよ。とはいえ、下りではあまり使いたくないし、周回ルートもとりづらいので、利用価値は低いでしょうね。
七滝沢の上流は、以前むうたさんも行かれていますが、さすがに黒岩からだと体力的にきついので、もっとも楽なルートを見つけたいと思っています。見た感じ、バンドを伝ってF2の先まで行けそうでしたが、問題は沢に下降できる場所があるかどうかでしょうね。雪が完全に消えた頃を狙ってみますよ。
実はこの2日後に39℃を超える発熱と腹部の膨満感があり、採血やレントゲン、腹部エコー検査を受けるも原因がはっきりせず、後日、最終的には急性胃腸炎の診断で落ち着きました。ただその後もなかなか体調が戻らず、今日あたりからようやく身体をだるさが抜けた感じです。
どちらに行かれたかわかりませんが、時間切れとなると、どれだけ時間がかかる場所なのかとかも参考になるでしょうし、ファン限定でもいいのでぜひ公開してくだ

きりんこ

No title
むうたさん、こんにちは。
むうたさんもなかなか条件が整わないようですね。自分もこの翌日、なんとなく無理してでかけたせいか体調を崩してしまいました。この地は、相応の準備が必要ですし、行けたとしても心身の消耗や虚脱感等の副作用がありますから、万全を期して臨むのがよいでしょう。
滝は、仰る通り見えている部分だけなら行けそうなのですが、雪は間違いなく滝の手前の部分が開いているし、まずその手前に行くまでがスノーブリッジ(中が空洞)なので、超危険なので、やめておきましたよ。F2の上に行くルート、瀑泉さんも興味津々のようですから、ぜひ道を作っておいてくださいな。
メシ沢、自分もよく手と顔を洗いますので、小水は下流に向かってお願いします。枯木地帯、自分も今回もっとも惹かれました。この地に限らずなのですが、ここ数年立ち枯れが気になってしまうのは何なんでしょうね。
目的に縛られないと、視野が広くなり、突然第六感がはたらくことがありますね。ギリギリの状況に身を置いても同様に五感がギンギンに冴えますが、その後の反動がきついので、できることなら余裕をもって自然と対峙したいですね。

Космическая пыль

No title
お疲れ様です

私、先日とうとうF2越え道見つけましたが、目の前で崩落は痛かったです

きりんこさんは10mロープお持ちですから楽々クリアで七滝沢最深部行けますね

正直、飛び降りても何とかセーフそうな高さでしたが、足首などやられたらおしまいなのでやめました

それでですね、何気なく黒岩滝に降り立つ崖を、きりんこさんが黒岩遥拝まで行けると書かれていたので、来た道工事激しいので登ってみましたら、枯れ木地帯に着きました

こちら、きりんこさんの画像と同じ場所かな?と

妙に牧歌的な雰囲気な場所で、滝遡行失敗で心折れた私には癒しでした

枯れ木地帯なのに、何故か落ち着く場所でした

きりんこ

No title
むうたさん、おはようございます。
情報ありがとうございます。行けるということがわかっただけでも、またチャレンジするモチベーションになります。私も過去に、雲竜瀑見物の帰りに崖から飛び降りて足首を骨折してますから、飛び降りずに正解だったと思いますよ。
記事拝見しましたが、同じ立ち枯れ地帯ですね。何より、すんなりとルートを見つけてしまうところに改めて驚きました。
むうたさんも枯木地帯で落ち着きますか。自分も以前から同じで、立ち枯れの書籍まで取り寄せたことがありますし、夜中に月明かりで撮影に行ったこともあるくらいです。
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きりんこR

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