宿堂沢遡行~宿堂坊山東尾根

前小屋沢大滝を撮影しながら、このあとのコースを考える。案としては、三俣沢の3支流(三左衛門沢、宿堂沢、大岩沢)のうち一つを遡行しようと思っていたが、実は今回魔法使いさんとぐっちゃんをお誘いしたものの、予定が合わずに単独で来ることとなった。次回お二人を誘うなら、遡行価値の高い大岩沢は残しておいたほうがいいだろう。そして下降が楽な三左衛門沢も残しておこう。ということで、消去法で宿堂沢を遡行することに決める。とりあえず、来た道(沢)を戻り、三俣沢を遡行する。

やっぱりこのあたりの雰囲気はいいなぁ。熊の濡れた足跡も乾いてなくなっていた。





11:20 スルノ沢出合まで戻ってきた。復路も約25分。





来た時も気づいてはいたが、スルノ沢出合のすぐ先はゴルジュとなっている。そして唐突に水がなくなってしまう。このことは、どなかの記録で読んだことがあるので慌てない。ゴルジュ内の二つ目の滝は直登が難しく、ゴルジュ出口から一気に巻いてしまうのが無難らしいが、とりあえず奥の様子だけ見に行く。一つ目の滝は問題なく直登。





そしてすぐ奥に水の流れていない6m滝が立ちふさがる。水流がないので直登できそうだが、滝つぼが深いので素直にゴルジュ出口まで戻る。





右岸についた踏み跡を辿り、難なく涸れ滝の上へ。





滝の上も少しの間伏流が続いたが、





すぐに水流が復活。





少し進んで水量が増えてきたところで約30分生態調査。結果は内緒ね。





小滝が続き、両岸が狭まってくると、三左衛門沢出合はもうすぐ。











12:28 三左衛門沢出合。左が本流。





更に小滝を越えると






12:30 宿堂沢と大岩沢の出合に到着。





大岩沢出合の滝。





宿堂沢出合の滝。奥に大滝が見えている。この滝の撮影も楽しみにしていたが、すっかりピーカンになってしまい、残念。次回に期待しよう。






下段の滝を左から巻くが、落ち口へのトラバースが重荷だといやらしかった。




20m大滝の前で荷物を降ろし、再び三脚を出して撮影。しかし、足元がやや傾いており、フェルトでも滑りやすいので気を遣う。また、角のとがった大岩がゴロゴロ落ちており、頭上も気になっしまい、何となく落ち着かない場所だった。



撮影条件も良くないので、さっさとカメラを片付けて先へ進むことにする。左岸の急な斜面を高巻くのであるが、先人の記録通り木の根っこだけが頼りになりそうなのでチェーンスパイクを装着。

チェーンスパイクを着けていても時折足がズルっとなっていまい、緊張が続く。ここで滑り落ちたら下段滝下まで止まらず、たたではすまない。本当に細い木の根っこだけが頼りだ。そろそろ滝上あたりまで登っただろうかというところで危うい斜面を恐る恐るトラバースして小尾根の向こう側をのぞき込むと、まだ滝の横あたりだった。再び木の根に掴まりながら横移動し、少しでも掴まるところが多いところを選んで登っていく。左を見ると垂直に近い岩が20~30m上まで続いているので、その上まで行かなければとても沢に下降することはできそうにない。





沢から離れるとさすがに暑い。向こうの山は?




最後はシャクナゲの手もかりつつ尾根に乗ったが、70~80mは追い上げられただろうか。緊張でヘトヘトになり、もう沢に戻るのはやめにしてこのまま尾根を上がってしまおうかとも思い始める。




左を見ても、とても下降できそうなところがない。そう思いながら尾根を少し進むと、ここからならどうにか沢へ降りられるかなというところを発見。試しに降りてみると、崖の上に出てしまうが、だましだまし上流に向かって崖裾のトラバースと下降を繰り返し、やっとのことで沢へ復帰することができた。

沢に降りたところから振り返って。絶妙に岩裾を縫っておりてきたが、よくあんなところ降りたもんだ。




この大高巻きで30分以上はかかっただろうか。とりあえず、先人の情報だともう難所はないはずなので、気を取り直して遡行を続けることにする。





2時間もあれば稜線に着けるだろうからとここでも生態調査。結果は内緒よ。




今回、大滝上はあまり期待していなかったのだが、きれいなナメやナメ滝が多く、正直スルノ沢よりもずっと良かったと思う。疲れてあまり写真は撮らなかったが。




















苔むした20m階段スダレ滝。これもいい滝だ。曇ってくれればいい写真が撮れたと思うが仕方ない(すうじいさんのブログにきれいな画像が掲載されている)。雰囲気のいい場所なので、撮影しながらゆっくり休む。最初の大滝の高巻きだけは一考を要するが、その上のナメとこの階段状滝の撮影だけでもまた来てもいいと思った。





階段状滝を快適に直登してからも、しばらくナメ滝が続き、傾斜を増して標高をかせいでいく。





その後も次々と小滝が現れるも、ほとんどが直登可能。























標高1640m付近で3段の滝。2m+4m+6mといったところかな。





3段目の滝は左を直登。





徐々に水量が減っていき、源流の雰囲気に。




標高1670mの二股は左のルンゼ状へ。





水が涸れたり現れたりするようになった。このまま平和的に稜線に抜け出したい。





標高1750mの二股は左が急なルンゼ状で右は緩いガレ沢となっているが笹が覆いかぶさっている。ここは左のルンゼを選択したが、これが失敗だった。




かなり傾斜の強いルンゼを、四つ足で登る状態が続く。幸い、ぽこぽこと出ている岩をホールドにできるので、一歩一歩慎重に登って行ったが、横を見ても急な笹の斜面で灌木もなく、一度滑ったらルンゼの一番下まで止まらないだろう。ここは絶対下降で使うべきではない。





振り返ると足尾の盟主様も見えるが、景色を眺めている余裕はない。両岸の角度はこの通り。





そんな状態が標高差にして70mくらい続いただろうか。ここへ来て喉カラカラだ。ようやくルンゼが終了し、笹原となり傾斜も緩んだ。しかし笹が深く、少しでも丈の短いところを選んで右へと歩いていく。結果的に最後の右股を詰めたところとつながってしまった。やはり、最初から二股を右へ行くべきだった。




えっちらおっちらと笹ヤブをかき分けて県境稜線に着くと、ちょうど男嶽ノ宿の石祠(金剛堂)の目の前であった(15:00)。なんだかんだで、大滝から2時間といったところか。宿堂沢を下降するなら、この石祠から笹の被った溝を下って行けば、急峻なルンゼの下部に降りられるので、ここから下降することをおすすめする。



ここからネギト沢で下山する案もあったが、それだとチャリ回収に遠回りだし、ネギト沢は別案で利用する機会があるため、宿堂坊山東尾根で下山することにする。明るいうちに下山できる目途がたったところで、ゆっくりエネルギーと水分を補給する。水分は2リットル持参したが、ここまでで1.5リットルの消費。気温は高いが沢歩きなので思ったより消費しなかった。あと500mlあれば干からびることもなかろう。ヘルメットとネオプレンスパッツをはずすと涼しくなったし。靴も沢靴からハイパーVに履き替える。なぜかローカットを持ってきてしまったのだが、このことであとで後悔することになる。


あとは登山道を歩くだけなので楽勝と思ったら、意外と踏み跡が薄く何度も見失う。どこを歩いたって構わないのだけど、なるべく楽をしたい。つい目印を探しながら歩いてしまった。体力的にも登りはかなりきつくなってきた。





15:30 久しぶりの宿堂坊山に到着。なんか山頂標識が増えた気がするが。




あとは下るだけなので、ついボーっとしながら歩いてしまう。標高1750付近で尾根型を離れ、南東へ向きを変えるところだけは注意する。急斜面を下っていると、靴の中に土が入りまくる。ハイカットにしていればそんなことなかったのに。面倒なのでやけくそで下っていく。




標高1450mあたりまで降りてくると、あとは尾根型も明瞭なのでつい惰性歩きとなり、ときどき寝てしまいそうになった。





尾根の末端はネットで保護されているのでそのヘリを歩いて柳沢方面へ。




16:50、吊り橋のところに戻ってきた。最終バスも行ってしまったので、もう誰もいない。



あとは電動チャリを漕いで、17:30、駐車地に帰着。全部で約14時間の行動だった。今季初の本格的な沢歩きにしては少々ハードだったかな。途中、撮影や生態調査がなければ10時間程度だったかもしれないが、歩きっぱなしだとまた足が攣ってしまうだろうから、ちょうどよかったと思う。案の定、翌日は全身筋肉痛で心地よいを通り越していた。疲れが抜けるのにも4日くらいかかってしまった。やはり、泙川流域を踏査するには、沢で一泊するのがいいと思う。ということで早速翌週、沢泊まりで泙川流域を歩く計画を立てたのであるが、果たして。


軌跡です。

この地図の作成に当たっては、国土地理院の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平成24情使、 第617号)

スポンサーサイト



コメント

ふみふみぃ

No title
宿堂沢、ナメが多くて中々良さそうですけど高巻きがかなり難儀しそうですね。写真を見て下りられる気がしません(笑)。安全地帯で待ち構えてすっと手を差し伸べてくれる。やはりナゲさんはポイントを抑えてきますね。
きりんこさんが沢の撮影は晴れより曇りの方が良いとよく書かれていて、でも晴れてる方が沢登りは気分が良いよなあなんて思ってましたが、今週末奥鬼怒の地味沢で滝を撮影したら光を反射して上手く撮れずなるほどなあと思いました。
しかし生態調査した割に日帰りで帰れてしまうんだなあと。やっぱりこの辺りは日光側からはいった方が良いんですね。泙川林道の往復は疲れますし。
きりんこさんが泊まり予定なのは珍しい気がしますね。結果はどうだったんでしょう。

瀑泉

No title
ナルホド,戻りは宿堂沢でしたか。大滝の巻きも大変だったみたいだケド,1750mからの最後の詰めは,もっと大変だったようで。
それにしても,宿堂沢の大滝はやはり良いですネェ。前小屋沢の大滝も良いけど,やはり此方の方が好みです。
ちなみに,下段8m滝,右岸巻きだったようですが,左岸直登は厳しそうでした?
どちらも記録はあるみたいだケド,いざ下りるとなると,支点になるモノも無さそうだし,右岸からしか無さそうですが。
まぁ,大岩沢は出会いの8m滝が越せるかどうか分からないから,大岩沢大滝は後回しとして,前小屋沢大滝や宿堂沢大滝も見たいから,スルノ沢利用を考えてみますヨ。まぁ,宿堂沢は,大滝までで止めておきますケド。
それにしても,やはりチャリが欲しいなぁ~・・・バスじゃ時間的に厳し過ぎて。。。

Космическая пыль

No title
お疲れ様です

宿堂沢って、名前の割に宿堂坊山から遠そうですね

スダレ滝、とっても観たいです

宿堂坊山から攻めれば楽でしょうか・・・

きりんこ

No title
ふみふみぃさん、こんにちは。
宿堂沢、最初の大滝を除けば癒し渓でした。といっても、あの高巻きも最初から大高巻きのつもりでいけば危うい思いをせずに済んだし、下降地点も、もう少し先へ行けばもっと安全なところがあったと思いますから、ふみふみぃさんも機会があればぜひ。
ただ、日帰りはできましたが、なんとなく気忙しかったです。日光側から入るにしても、一泊がおすすめですね。
もちろん、沢登りの場合晴れていた方が気持ちいいのですが、撮影となるとコントラストがきつく、明るいところが白トビするか、影が黒くつぶれてしまうので、難しいですね。自分の場合なるべく広い画角で撮りたいので、なおさら苦労します。
泙川流域はのんびり歩きたいし、泊りで集中的に歩いた方が効率もいいので、久しぶりに泊りの計画をしました。ただ、荷物が重くなるのでニゴリ小屋泊りに計画変更したのですが、結局時間を持て余してというか、2日目に歩くコースが思いつかなくて帰ってきちゃいました。

きりんこ

No title
瀑泉さん、こんにちは。
そんなわけで、現地判断で宿堂沢を選びました。大滝の巻きも、小さく巻こうとしてスレスレのところを攀じ乗ったのが失敗だし、1750mの二俣も完全に選択ミスでした。そのうち傾斜も緩むだろうと思ったのが間違いで、むしろますます傾斜が増していき、戻るに戻れない状況になってしまいました。右へ行っていれば、リスクはなかったでしょう。
宿堂沢の大滝、自分も楽しみにしてたんですけどねぇ。写真的にはお手上げで、落石も気になってどうも落ち着かなかったです。そういう意味では下段滝の下からのほうが、穏やかに眺めていられました。
下段滝の左岸側ですが、とても登れるようには見えませんでしたけどねぇ。最初からその気もなかったので、しっかり見ようと思いませんでしたよ。下降は右岸の木を支点にすれば問題ないでしょう。
前小屋沢と宿堂沢の滝だけを見て日帰りとなると、時間的には平滝からのピストンが最短ですかね。日光側からだと、やはりスルノ沢を下降して三左衛門沢遡行でしょうか。三左衛門沢と大岩沢の組み合わせでしたら、ぎりぎりバスに間に合うかなとは思いますが。チャリも、電動じゃないと帰りがきついです

きりんこ

No title
むうたさん、こんにちは。
宿堂沢、名前の通りこれでも宿堂坊山が水源なんですよ。日光側から攻めるのでしたら、石祠の横から降りていくといいと思います。スダレ滝までなら片道1時間程度で行けるでしょう。

Космическая пыль

No title
> きりんこさん
石祠左手、水場を降下でよろしいでしょうか?
石祠探しに邁進していた時期、水場とあり降りました。滝を幾つかこなし、最終的に錆びたガードレールがある道に出て、工事で削った壁沿いを歩いて・・・所有画像がガードレールまでしか無く、何処に出たのかも記憶ないのです
赤岩滝途中に似た景観の道でしたのでその辺に出ると認識してましたが違っていて
石祠は探すのに苦労し、見映えも好みですから何処に出たのか確認のリトライも乙ですね

きりんこ

No title
むうたさん、こんばんは。
その時むうたさんが下りた水場方向とは反対側(南西の群馬側)へ降りてください。宿堂坊山頂からコルへ下った場合、石祠の左方向です。

bon*e*ki

No title
はじめまして、コメント書き込みは
初めてです 宜しくお願いします。
ウメコバ沢辺りから何時も興味深く
拝見しており、感心してます。
今回もとても興味深く拝見いたしました、私も群馬県側からの皇海西尾根とか
三俣沢を詰めての縦走とか考えていたので、参考になりました。
また生態調査のことなど、しばらくは
休業中の釣も再び復活したいなーと
思ってます、それと きりんこさんのブログにコメントされる方々が皆さんコアな方々ばかりですね。(^_^)

きりんこ

No title
bon*e*kiさん、はじめまして。
コメントありがとうございます♪
bon*e*kiさん、もしかしてふみふみぃさんとも歩かれている方かなと思ったらやはりそうでしたか。大佐飛山の記録も拝見しましたが、とんどでもないお歩きで、とても真似できませんよ。bon*e*kiさんも十分コアな方じゃないですか(笑)
今回の記録、あまり参考にされる方もいないだろうと思いましたけど、意外にもいらっしゃいましたか(笑)bon*e*kiさんは泊まりもやられますから、せっかくなので釣りもしながら、どっぷりと深山に溶け込んでみてはいかがですか♪

Космическая пыль

No title
> きりんこさん
あ!祠と対面すると、私の記述は右手でした

私、宿坊堂山から祠辺りって方向感覚が狂うんです。この地で初めてコンパス使いました。尾根道使うとくるりと反転していたり、景観が見づらいのもありますが混乱してしまうんです

次回も宝くじオマケコンパス持参します。でないと記述の様に感覚が混乱するんですわぁ

インフォありがとうございます!

きりんこ

No title
むうたさん、こんにちは。
たぶん、記述間違いだとは思いました。下りで沢を一本間違えると、とんでもないところへ行く可能性がありますから、地図とコンパスはあったほうがいいですね。ご健闘をお祈りします。
非公開コメント

きりんこR

FC2ブログへようこそ!

Tree-Arcive