2018年6月30日 ニゴリ沢~鈴小屋沢右俣~赤根沢~小足沢左俣(その1)

 前の週、奥日光から県境越えで三俣沢上流域を歩き、日帰りでもどうにかこの界隈を歩けることがわかった。しかし慌ただしく一日が終わってしまったという印象で、どうせなら沢で一夜を過ごさなければ勿体ないという思いが強く残った。そんな折、たまたま翌週が3連休のため、早速泙川流域での渓泊を計画。しかし一人でのテン泊は心細いので、魔法使いさんとぐっちゃんに声をかけてみたが、またしても都合が合わない。仕方ないので一人で行く決心をしたはいいが、泊り用のザックを一昨年処分してしまい、手持ちで一番大きいので40lしかない。小屋泊りならそれでも足りるが、テント泊となるとさすがにきびしい。すぐに大きいザックを買う決断もできず、何かいい方法はないか考える。思いついたのが、ニゴリ小屋に泊まって、松木沢と湯ノ沢の上流域を何本か歩くというものである。とはいっても慣れない小屋泊りだし、とりあえずは一泊が妥当だろう。これなら2日分の食料の他にマットとツエルト、蚊取り線香だけあれば何とかなるだろう。
 では、具体的なルートをどうしようか。未踏尾根も組み合わせたいけど、足尾の夏は暑い。なるべく沢から離れないルートを思案し、初日はニゴリ沢大滝を見物してから県境尾根を越え鈴小屋沢右俣を下降し、赤根沢を遡行、最後に小足沢左俣を下降してニゴリ小屋に泊まる。2日目は東沢を遡行して皇海沢を下降する計画とした。鈴小屋沢と赤根沢については、遡行価値がないとの情報であったが、今回は暑さから逃れるのが一番で、ついでに未踏の沢を踏査できれば十分。むしろ地味沢をつぶすのにちょうどいい機会だ。それに、ニゴリ沢大滝以外撮影になるところもないため、デジ一と三脚を持たなければ荷物も少なくできるし。
 3連休なので、当然初日と2日目に歩き、最終日は休養日としたかったのであるが、初日の朝になっても前週の疲れがとれず身体が重い。仕方なく初日にしっかりと休み、2日目に出かけることにした。
 仕切り直しの30日土曜日はすっきりと目が目が覚め、3時に自宅を出発。4時に銅親水公園に着くと雲が朝焼けに染まっている。他に車が3台止まっていて、テントを張っている人もいる。中に人がいるかどうかはわからない。釣り師が先行していなければいいが。車から降りると、朝から蒸しっとして今日も暑くなりそうだ。だが水はどこでも得られるので、持っていくのは2リットルのみとした。カメラと三脚はなくても、30mロープやハーネス、沢靴、泊りの道具を詰め込むとザックはパンパンになってしまった。先週はローカットのハイパーVで失敗したので、今回はハイカットを履き、4:20、電動自転車で出発。


全天真っ赤な朝焼け。ここまで染まるのも珍しい。




約15分で林道終点に到着し、4:35に歩き始める。この廃林道を歩くのは何度目だろう。たぶん最後は丹平治沢右岸尾根を歩いたときだから、約半年ぶりとなるが、さすがに新鮮味はない。今日は夕立さえこなければ時間はたっぷりあるのに、つい早足での黙々歩きになってしまう。しばらく進んだところで足元を見ると、ネオプレンスパッツと半ズボンにダニがびっしりと付いていた。慌てて取り払い、自家製ハッカ油を全身にスプレーする。このハッカ油、ブヨやヌカカにも効果があるはずなのに、先週はまったく効果がなくヌカカに刺されまくってしまった。考えてみると作ってから1ヶ月以上経っていたのである。そのため、前日に新しく作りなおしておいたのであるが、スプレーを噴霧し、丹平治沢を過ぎてからはダニを1匹もみなくなった。スプレーの効果か、たまたまダニがいなくなっただけなのかは定かではないが。


朝陽に染まる沢入山





廃林道の終点から河原に降り、ひとまずダニの心配はいらなくなる。予想はしていたが、松木沢本流もウメコバ沢も水が少ない。



 5:30、6号堰堤に到着。ほぼいつも通りのペースか。ここまで何ヶ所かある渡渉地点に濡れた足跡を見なかったので、自分が先頭のようだ。釣り師に気を遣う必要もない。ジャブジャブ行こう。
 三沢、小足沢を過ぎ、小足沢右岸尾根の下降地点を確認しておく。まさかピンクテープは付いていないだろうなと覗き込むもそれらしいものはなく一安心。
 大ナラキ沢、釜の沢出合を過ぎると魚影が濃くなる。この辺りで釣れるのは当たり前なので、まだ竿はださない。んっ?そういえば、竿をザックに入れた記憶がないぞ。恐る恐る荷物を確認。やっぱりない。。。楽しみがひとつ減ってしまった。ガクッ。


大ナラキ沢





釜の沢




途方に暮れつつ先へ進む。この先も何度も歩いているため、どこを歩けば早いか、どこに歩きやすいところがあるかを体で覚えている。そのため、回数を重ねるたびに短時間で歩けるようになった気がする。ゴケナギ沢を過ぎ、ニゴリ小屋に荷物をデポしようかどうか迷ったが、食糧とマット程度ではたいした減量にはならないだろうと、そのまま素通り。ほどなくしてニゴリ沢出合いに到着し、そのニゴリ沢へと進む。

6:37 ニゴリ沢出合




ニゴリ沢を歩くのはモミジ尾根から三俣山、大平山を周回して以来だから4年ぶりか。沢通しのゴーロ帯を、日向は暑いのでなるべく木陰を拾いながら歩いていく。途中、今回は歩く予定もないが、モミジ尾根への取り付き地点を探すも見つけられず、一つ目の滝まで来てしまった。前回は遠くからでも目印に気が付いたのに。

この滝は左から簡単に越える。





これは右から




その後も簡単に登れる小滝が続き、標高を上げていく。ハイパーVでもそれなりにフリクションがきくので、そのままでいく。

標高1300mの二俣で、右俣出合に懸かる2段10mほどの立派な滝。間の小さいのも入れると3段か。直射光が当たって撮影にはなないが、のんびり眺める。この滝は右のバンドを伝って容易に越える。





沢の名前の通り、徐々に白濁が強くなって、岩肌も白くなってきた。




この滝は右から巻いたが、足元が砂地でズルズル滑っていやらしかった。左から直登した方がすっきり行けたかもしれない。




岩の色が赤白に分かれている。どうやらこの辺りで水質の異なる水が交わるようだ。




1475mの二俣を過ぎ、次の1550m付近の二俣で左の沢床の色は白、右は赤とはっきりとわかれる。硫黄成分は左俣から流れているようだ。




その二俣を右へ入ってすぐに懸かる5m滝はホールドがしっかりしてそうなので左から直登してみたところ、4mくらい登ったところであと一手がたりず、ハイパーVのフリクションも心許なく、セミになりかけてしまう。最終的にはエイやと足に力を入れて登りきることができたが、思わぬところで緊張を強いられてしまった。




次の滝6m斜瀑も左を直登。下の滝にくらべればましだが、緑のコケが意外と滑り、細かいホールドを拾いながら恐る恐る登る。よく見ると下の滝と一緒に中間尾根から巻けたようだ。大滝を見た後、またこの下まで戻る予定なので、さすがにそのときは中間尾根を使おう。




8:04、やっと大滝に到着。ニゴリ沢に入ってから1時間半にしては長く感じたな。最悪水がないことも覚悟したが、多少でも流れていてよかった。まぁ、今日は偵察のつもりだし、次は雨が続いた後にでも来よう。周りが開けて全体に光が当たるので、少し遅い時間でも撮影できそうだ。




せっかくなので、上の滝つぼまでいってみよう。瀑泉さんに倣って、右の笹の急斜面を登り過ぎないように注意し、この辺かなというところでトラバースしていくと、ちょうど岩壁の下で、岩が平らになっていて唯一滝つぼに行けるルートだった。




水が少ないのは残念だけど、夏空と赤い岩肌のコントラストが美しい。




振り返ると、大平山やオロ北が見えた。いつの間にか結構高いところまできてたんだな。それにしても、沢から離れると暑いな。




大滝の前で20分ほど過ごし、安全なルートで県境稜線に向かうべく、1550m二俣の少し下まで戻ることにする。
大滝横の急な笹の斜面を慎重に横切り、樹林帯の中を下って先ほど苦労したコケの滝の上に降り立つ。そして来るときに目を付けておいた中間尾根で楽々下りられる・・・と思いきや、最後は掴まるところがない急斜面で、4mくらいはほとんど滑り落ちる状態でどうにか二俣に降り立つことができた。ここは無理せず、ほんの少し左俣の上流側に降りればいいだけのことだった。
二俣からもう少しだけ下り、標高1520mあたりから左岸の斜面を登り、地図上でこぶのようになっているところを北側に回り込む。

こぶを北側に回り込むと、古いビンや缶、鍋などが多数散乱していた。それが数十メートル続き、結構な量だった。不法投棄がやまない近所の山を見ているようで、一体ここはどんな場所だったのだろうか。ニゴリ沢は魚がいないので釣り師ではないだろうし、一番怪しいのは林業関係者だが、その痕跡もない。自分とは逆ルートで県境から降りてきたとしても、目的がわからない。





やや興ざめしつつ、県境へ向かう沢型に入り、北北西へ向きを変える。予想通り傾斜が緩く、平和な感じだった。





最後は笹がかぶさっていたので適当に尾根に逃げる。しかしこちらも笹が深く楽ではなかった。




9:07、県境稜線に着くとなぜか笹の丈が極端に短くなる。おぉ、皇海山がこんなに近い。




オロ山~庚申山



稜線に出たところから、そのまま反対側へ降りていけば湯ノ沢本流であるが、そこは別の機会にとっておきたいので、予定通り国境平から鈴小屋沢右俣を下降する。

9:20、国境平に到着。駐車場を出てからちょうど5時間。先はまだ長い。




鈴小屋沢へと下降し、3分ほどで源頭。あまり評判のよくない国境平の水場だ。確かにあまり飲みたいとは思わないが、持ってきた水の残りが1リットルになってしまったので、ためしに飲んでみると見た目によらず冷たくてうまい。500mlペットボトルに汲んでいく。




その後何度か伏流したりしながらも徐々に水量が増していく。平凡な沢が続く。





ナメも出てきていい雰囲気に。ただしハイパーVは滑るのでよくわからないところで岸に逃げたりを繰り返し、なかなか前に進まなくなる。フェルト靴を出す必要性までは感じない。





全国的にも珍しいナゲの滝。崖の上から落ちてきただけだが。




ナメ滝




下から。上段にナゲの滝。





10:30、鈴小屋沢左俣を合わせる。水量は1:1くらい。この辺りから魚影が濃くなり、大きい淵には10匹くらいのイワナが優雅に泳いでいた。しかし竿がない。。。




10:36、続いて湯ノ沢本流を合わせる。この辺り一帯ナメとなっている。釣れそうなポイントがたくさんある。





10:49、赤根沢出合に到着。やっと折り返し地点だ。ここで標高1200mだから、また600m以上登り返す予定か。



(その2に続きます)
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コメント

bon*e*ki

No title
こんにちは~
ニゴリ沢大滝、とくに梅雨明けの青空と赤い岩肌のコントラストがいいとて良い写真、一度は見てみたいです。
ただ、自分には技量がないので途中てセミになりそうです。(笑)
その後のおびただしいゴミはなんですかね、昔の林業関係者の残したものかな?コブの所に木材搬出のためのワイヤーベースでもあったかな。その後の国境平での写真に「あれっ 鹿の角付ドクロは?」思わず写真をノビノビしてました、先日 きたっちさんが訪れた時の
写真には写ってましたから・・・(奥のブリキマークの付いた木にありました)
国境平の水場も拝見しました、沢を
下られて 高度成長時代の乱開発や伐採により荒れた川は多いですね、残念です。
今回は生態調査のアイテムを忘れた様で、また続きを楽しみにしてます。

瀑泉

No title
無事,大滝下に行かれたようで何よりでした。あそこは,ホント,唯一行けるルートですモノね。
それと,手前の5m滝,6m斜瀑も直登されたようで。あの滝は,どちらも悪いですからネェ。特に5m滝は,ろくなホールドが無いから,中々,ヒヤヒヤモノだったでしょう(笑)。
それはさておき,県境尾根に上がる詳しいルートありがとうございました。ナルホド,大滝見物ならそのルートは良いですネ。怖いガレ場の横断もしなくて済みそうダシ。まぁ,古いゴミはおそらく林業関係だろうし仕方ないでしょうが,いずれ再訪するつもりだし,支沢も探検したいから,利用させていただきますヨ。
ところで失礼ながら,出発時間は4時台の間違いでは?さすがにきりんこさんでも,出発から大滝下まで1時間40分強は無理でしょう(笑)。
ちなみに戻りは,小足沢左俣だったんですネ。自分もちょうど歩こうと思っていたので,次もお待ちしております。

きたっち

No title
こんばんは。
撮影テクニックなのでしょうか、朝焼けのピンク、オレンジ色の山、お見事です。
ニゴリ沢奥も興味深いし、ニゴリ小屋泊は羨ましい。是非泊まって周辺探索、イワナ調達しての夕食なんか憧れます。しかし魚影を前にして竿が無いのはなんとも辛いですね(笑)。
先週に釜ノ沢左俣右岸尾根から県境、小足沢中間尾根で下り、三沢に抜けましたが熊に会ったり、お助けロープ落として来たり盛りだくさんな山行でした。
釜2峰での自撮り写真にはザック背面の
ロープらしき物が写っているので三沢までの区間で落としたか、中間尾根の1455付近のナゲさんに取り上げられたらしいです。
その2では「落とし物ロープ発見」を期待しております(笑)。

きりんこ

No title
bon*e*kiさん、こんにちは。
bon*e*kiさんほどの経験と技量があれば問題ないでしょう。無理をしたくなければ、必ず安全ルートがありますし。セミになるのは、たいてい自分の力量を過信したときですね。それが次に活かせればいいのでしょうが、毎度同じ失敗を繰り返しています(-_-;)
ごみは、やはり林業関係者でしょうねか。言われてみれば、コブの上も見てくればよかったですね。まさか石祠なんかあるはずないでしょうが、次は確認しようと思います。
国境平のドクロ、画像が小さいですが右のほうに写っているんですよ。自分も、きたっちさんの写真を思い出して探しちゃいました(笑)
前の週のスルノ沢といい、昔の記録と比べると荒れてしまった沢が多いようですね。大雨等の異常気象によるものもあるのでしょうが。
竿を忘れたのは大ショックでしたね。それを知ってか、イワナが無警戒に泳いでいるので、余計に腹が立ちました(笑)

きりんこ

No title
瀑泉さん、こんにちは。
おかげさまで、無事に滝の下に行くことができました。ピッケルもバイルも持っていきませんでしたが、瀑泉さんの情報でなんとなくイメージができていたので、気分的に余裕をもっていくことができました。
5m滝、下から見ると楽勝に見えましたけど、意外にも手ごわかったですねぇ。緑の苔の上なら滑らないと思ったらそんなこともなく、取りついた後に後悔しました(笑)
このルート、なにかのついでというのも想定しにくいですけど、大雨の後で渡渉がたいへんなときにはいいのかなと思いました。もっとも、その場合は松木川歩きが問題となるかもしれませんが。
出発時間、ご指摘ありがとうございます。4時台の間違いです。早速直しておきます。
小足沢左俣は、あまり見どころもなく写真もほとんど撮りませんでした。危険個所がないので、今回のように暑さをしのぐためになら利用価値はあるかなと思いました。上部では至る所で水が湧き出しているので、飲み水には困らなそうですし。

きりんこ

No title
きたっちさん、こんにちは。
お褒めいただきありがとうございます。といっても、実際にこんな色でしたので、何も考えずに撮っただけですが(笑)
竿忘れは痛かったですねぇ。おっしゃるように、小屋に泊まって焚火でじっくりイワナを焼いて・・・と妄想していたのに、一番の楽しみがなくなってガッカリでしたよ。
きたっちさんは内容の濃い山行でしたね。モロ熊じゃないだけ何よりでした。ロープについては・・・次の記事のお楽しみ、ということにしておきましょうか(笑)
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きりんこR

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